Sleeping dream
恐る恐るボタンを押した。

「……もしもし……」


「もしもし、愛?
 やっと、出たー!
 何回掛けても繋がらなかったか ら、もう諦めようかと思ったん だよ?
 でも、よかった。」

電話を通して聞いたって、ユウの声はすごく甘い。


「ごめんね。
 電源切っちゃってた。
 で、どうしたの?こんな真夜中 に。
 私の声が聞きたくなったとか?」

私は半分冗談で言ってみた。


「そうかもな。」


「……」

いつもより少し大人びた声から発せられた予想外の答えに言葉が詰まってしまった。




そんな事言わないでよ。




ちょうど、バッグの中から綺麗に畳まれた水色のマフラーがチラリと見える。


「マ、マフラーありがとね。」

咄嗟に出た言葉だった。

明らかに自分が何かに焦っていた。


“あっ、今、スルーしたでしょ!”と、ユウは笑いながら、言った。





……嫌になる――
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