Sleeping dream
「切るよ。」


「あー、ごめんごめん!!
 でも、マジで愛には感謝してる よ。
 楽しみ楽しみ!
 行きたい店、雑誌見て決めとこ っかな。」

ユウは本当に楽しみしてるみたいだ。

まるで犬がしっぽを振っているかのようにルンルンしている。

その声を聞いて、何となく嬉しくなった。


「ユウって、ミーハーなんだね。」


「ミーハーで悪い?」



ユウ、また笑ったね。


あんたの笑い声がどれだけ心を引っ掻き回してるか知ってる?



まぁ、あんたのことだから、気付いてないと思うけど。




「そろそろ切るね。
 愛ちん、よい子は寝んねしなき ゃだよ。」


「あんたが電話したんじゃない。」

私が笑いながら言うと、ユウも少し笑う。



今日の夢はこれでおしまい。






「愛、楽しみにしてるね。
 おやすみ。」


「おやすみ。」





――ッツーツーツーツーツーツー



私の耳元に虚しく響く音。

真っ暗な部屋の中でぽつんと独り、ベッドの上にいる。



子供が夢を見た後みたい。






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