Sleeping dream
いつものように支度をして、家を出た。


あの人が作ったお弁当は家に残したまま。



あの人が作った物なんて食べたくない。



駅の近くにあるコンビニでサンドイッチとお茶を買って、電車に乗った。



電車の中は朝のピーク時に比べたら、空いていたけど、隣の人の肩がぶつかるくらいは乗っていた。

私はドアにもたれ掛かるように立った。


窓から差し込む太陽の光が眩しい。

夜型のせいか、ギラギラした街中のネオンは平気なくせに、太陽の光は苦手だ。



だってそうでしょ?

いくらギラギラのネオンがあるからって、夜は真っ暗な闇。

その真っ黒なベールで私の身も心も覆い被せてくれる。


でも、天から眩しすぎるほどの光が降り注ぐ日中は私を隠してくれるものなんて何一つない。


自分を全てさらけ出せる勇気は私の中にはこれっぽっちもない。



だからって、昼間に堂々と道の真ん中でモデル歩きができる人を羨ましがることはない。



世の中には現実と理想の狭間でフワフワと漂っている人たちがたくさんいる。


私もその中の一人なんだと思えば、少しは楽になる。






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