Sleeping dream
行きの電車で二人でいろんな話をした。


ユウの話で私は笑ったし、私の話でユウも笑った。

普通の事が自然にできる。
今の私には何だか嬉しい。

「そういえばさ、今日は髪、巻い てないね。」


ユウは真っすぐな私の髪に触れた。

触れる度に髪が揺れる。


「あんたが真っすぐな方が似合う って、言ったんでしょ。」


“そうだっけ?”とごまかして笑っている。


意識したわけじゃないけど、鏡に映る自分を見た時、“これでもいいか”と多かれ少なかれ思った。

メイクもいつもの半分の濃さにしてみた。



まぁ、こういうのが意識してるとかいうのかもしれないけど。





ファッションビルの立ち並ぶ街の中心は放っておいても人が集まる。

それに加え、休日となれば、一段と多い。

肩はぶつかるし、足は踏まれる。


「ホントに多いね。」


「あんた好みの女の子もウヨウヨ してるよ。」


“みんな、愛には負けるよ?”と冗談を言いながら、彼は私を覗き込んだ。






いつも思う。

世の中の女たちはとにかくみんな同じ格好をしている。

みんな動くマネキンだ。



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