Sleeping dream
喫茶店を出た後も街をブラブラした。

一ヶ月を切ったからだろうか。

街はだんだんとクリスマスムードに近づいている。

赤と緑のお決まりの色使いはもう見飽きた。



それにしても、人だらけ。
カップルや友達同士が多いのだろうか。

この街はこんな人がいるから、空気が淀んでいるんだ。

あぁ、気持ち悪い。




「あっ!!」


ユウはある店のショーウインドーに走っていた。

こっちに来いと私に手招きしている。


「何なのよ。
 犬みたいに走って。」


「これ、きっと、愛に似合うよ。」


彼はショーウインドーの中をじっと見つめている。


ショーウインドーの中にはシルバーのアクセサリーたちが飾ってあった。

買ってくれと言わんばかりに照明を当てられて一層キラキラと輝いている。

これじゃ、女は欲しがるだろう。

実際、私も少しだけ心動かされた。


「どれがいいかな。
 ブレスレットにしよっか。」


ユウは私に柔らかい笑顔を見せた。

その笑顔は私にはもったいなくて、目を逸らしてしまった。


「今日は愛の誕生日でしょ。
 やっと、いいのが見つかったよ。」






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