Sleeping dream
「すみません。
 表のショーウインドーに飾って あるシルバーのブレスレット見 せてもらえますか。」



あーあ……

何なのよ。

“貰える物は貰っとけ”とか誰かが言ってたけどさ。


“こっちに来い”と彼は言っているのだろうか。

店員さんと一緒に私に笑いかけている。

仕方ないと思いながら、彼の方へとぼとぼと歩いた。



「これ、この子に着けさせてもい いですか?」


「どうぞ。きっと、お似合いです よ。」


私はブレスレットをじっと、見つめている。


綺麗なチェーンにハートのチャームが付いている。

ブレスレットが動くと、チャームがキラキラと光る。

灰色に染まっている私には眩しすぎて、似合わない。

「早く手出して。」


彼は私に手を差し延べている。


「私、たぶん似合わない。
 それに悪いよ、高そうだし。」


小さな声でゆっくりと言った私の言葉は彼に響いたのか、少し細めの眉毛をハの字にしている。


「大丈夫。
 絶対似合うよ。
 それに誕生日くらい祝わせてよ。」


何となく、その言葉に説得させられ、左腕を出した。







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