Sleeping dream
「やっぱり、四個にしておいてよ かったぁ。
 最初は二個にしようと思ったん だけど、お金があったし、余分 に買ったんだよね。」


彼女はスプーンを口へ運びながら、一人で話している。


「美央、これ食ったら、ちゃんと 家帰れよな。」


彼女は“はーい”と適当に返事をしている。

ユウはもう食べ終わったのか、スプーンをくわえている。



私、何やってんだろう……


「あの、すみませんでした。
 引き止めてしまって。」

彼女は申し訳なさそうに私を見ている。

真ん丸の目はうるうる上目使い。



美央ちゃん、

これじゃあ、男どもは貴女を放っておかないでしょ?

自然にできるのが、うらやましいよ。



「そんな事ないよ。
 プリン、いただいちゃったし。」


“愛、無理しなくていいから”と直ぐさま隣にいたユウがツッコんだ。


“何よー!!”と彼女は口を尖らせている。



こういうのが、兄妹っていうのね。



一人っ子の私には到底わからないような幸せがあるんだ。


もし、私にも兄弟がいたら、こんなにもひねくれた娘にもなってなかったかもね。






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