Sleeping dream
エレベーターのボタンを押し、

ランプが点滅しているのを見ていると、

後ろから“帰るの?”と声が聞こえた。



振り返ると、柱にもたれ掛かったショウがいた。

びっくりして、目を丸くする私に近付いてくる。


「何してんの?」


彼は私の目の高さまで頭を下げた。


「愛ちゃんが出てっちゃったから 、オレも帰ろっかなぁって。」


彼の手が私の顔に触れる。


結局、こいつも吐き出したいんだ。



「レナはいいの?」


「大丈夫。
 連絡先、渡しておいたから。」


“あっそ”と素っ気なく返した。


確かめる必要性などないかもしれないけど、

レナに後で知られるのも困る。


「どうする?
 オレ、手早ぇーよ?」


唇を耳元に当てるようにして、囁かれた。



あんたは何人もの女を今までこうやって、落としてきたんだろうね。


「いいよ。」






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