Sleeping dream
“また来るよ”の声と共に男は私を抱きしめる。

“待ってます。”と、私が男の耳元で囁くと、私にキスをした。

男は私に手を振りながら、帰って行った。


――バタンッ


ドアが勢いよく閉まった。

私はベッドに背中から倒れ込むと、“はぁ”と大きくため息を着いた。


「何やってんだろ。」


現実に戻る時、とてつもない虚しさに襲われる。








シャワーを浴びた後、下着をつけ、ピンク色のワンピースに袖を通した。


「バイバイ。」


真っ白なコートを着て、ブランド物のバッグを手に持って、部屋を出る。




外はギラギラとしたネオンの中はカップルやホストやキャバ嬢、明らかに援交であろうおやじと若い女たちで溢れていた。






ふと、夜空を見上げる。

この街の空には煌めく星なんか見えやしない。

ガスで覆われ、薄汚れた灰色をしている。


“帰ろう”と自分に言い聞かせるようにポツリと呟く。

私はコートのポケットに両手を入れ、歩き出した。


ブーツがアスファルトの道路を叩きつける音が耳に付き纏う。



歩く時、下を向いて歩くのは私の癖。


誰にも気付かれないように。
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