約束
ガラッ
「お、何だ桜木。また道田に宿題見せろって言ってんのか。たまには自分でやったらどうだ?」
「先生、それは無理があります!俺にはそんな頭がありません!」
元気よく手を挙げながら言ってる桜木に、先生はニヤニヤしながら言った。
「そうか。じゃあ桜木だけ宿題2倍だな。」
「えぇーー!!!!!」
桜木はおびえたように、私にお願いしてきた。
「道田!俺の宿題2倍がかかってんだ!だから宿題を見せてくれーー!」
やっぱり!。そう言うと思ったよ。
でも私の自慢は破らせないぞ。
「だから、い・や・だ!」
ドッ!
私が言った瞬間に、教室に笑いが起きた。
「桜木、諦めろ。お前は宿題2倍だ。」
「うぅ・・・」
笑いながら言う先生を見て、桜木はがっくりと首を落とした。
「ドンマイ、桜木」
最後に私の一言。桜木はさらにがっくりと首を落とした。
私たちの教室から大きな笑い声が廊下に響いていた。
こんな毎日が続くと思っていた。
これが壊れるなんて思ってもみなかった。
このことを知っていたら私は悲劇を止められたのかな。
毎日笑いながら生きていたのかな。
でも後悔してももう遅い。
悲劇への扉は、刻一刻と私に迫っていた。