Sleep
「亜依ちゃん、待ってたよ」
受付のソファーで細身で眼鏡をかけたスーツの男が立っていた。
「坂本さん、久しぶりです」
私は丁寧にお辞儀をする。
坂本さんは一流企業の係長で機嫌が良ければ10万位渡してくれる時がある。
機嫌をそこねないように気を使わなくてはいけない相手である。
妻はいないらしく、何回か交際を求められてきたがセックスするのが仕事だと毎回断っている。
やっぱり私だって交際は好きな人としたいという気持ちが無い訳ではない。
何でだろうね。
「亜依ちゃん?」
ぼーっとしていた私の横から声をかけてくる坂本さん。
「あっ、ごめんなさい」
「大丈夫なら部屋行こうか?」
私は坂本さんのジャケットの袖をつかみながら頷いた。