Sleep
初めて窓から見た日のこと。
残って8時過ぎまでレポートをやって帰ろうとした私は外を出た。
その日は雨が降っていて鞄の中をあさり、折りたたみ傘を出して開いた。
帰ろうとしたその時、数学の時間にいつも黒いベンツが停まる所に黒髪の少年がうずくまっていた。
近寄っていってどうしたの?と聞くけれど、何も答えない。
雨に濡れて寒いのか?それとも泣いているのか?
怖がる子犬のように震えていたのを覚えている。
「傘…、置いておくから」
傘をたたみ、それだけ言い残し、帰った。
それからもう5ヶ月が経った。
数学の時間に黒髪少年をちょっとの時間観察することが楽しみになった。
いつか話せればいいな。