─チビとわたしが歩く道─




「チビーッ!!」



「ワンッ!」



次の日の朝。


約束どおり、わたしは早起きしてチビの小屋へ向かった。



人懐っこいチビは嬉しいとき以外、めったに吠えない。





なのに、わたしが小屋へいくと必ず。


『ワンッ!』


って一回だけ吠えてくれる。




「そっか。早苗が来て嬉しい?」

右に左に大きくしっぽを振るチビ。




「よーし、よーしっ。ママ!早く行こっ!」

あたしもチビの頭をなでる。




「んふふ、それじゃあ今日は近くの公園までお散歩しようかしら。」



「チビッ、公園だって!いっぱい走れるね!」



5歳のわたしにはまるで、チビの言葉が分かるような気がした。


『嬉しいよ。』



‥‥‥‥って。







< 2 / 40 >

この作品をシェア

pagetop