─チビとわたしが歩く道─
「チビ‥‥‥?」
しっぽを一回振る。
「どうしたの?」
またしっぽを振る。
「わたし、勉強も部活もがんばるけどね。明日から、またチビとお散歩がんばることにしたの。」
それからチビは、わたしがしゃべるたびにしっぽを振った。
「‥‥わたし、チビが大好きだよ。」
だんだんしっぽを振るしぐさが力弱くなっていく。
「今まで‥‥‥ごめんね‥‥。あしたから、またチビと散歩がんばるから。ずっと一緒にいるから、一緒に帰ろうよ‥‥。」
息がだんだんおだやかになっていく。
「ねぇ、チビ‥‥‥‥。」
しっぽがぴくっと動く。
「ずっと、一緒‥‥‥だよね?」
それっきり、チビはしっぽを振らなかった。