─チビとわたしが歩く道─
「‥‥‥ッビ!‥‥チビ!」
雨の音にかき消されながらも、わたしは力いっぱいチビの名前を叫ぶ。
「ワンッ!」
小屋の中で丸くなっているチビがようやく気付く。
「あのね、今日はねっ特別におうちに来てもいーよ?ママがいーよって言ったの!あっ、パパには内緒だからね?」
嬉しくて、にっこりしながら言ったわたしの声はチビにちゃんと、届いただろうか。
‥‥‥うん、届いたみたい。
だってわたしには聞こえた。
『やった。早苗ちゃんと遊べるんだ。』
って。