【COLORS②】怪盗バレン─聖夜に贈るメッセージ─
「こんなこともあろうかといつもの゙あれ゙用意しといてよかった」
そう言うと千夜は俺の商売道具をちらつかせた。
「さすがは俺の妹」
「……ったく。そ・れ・と例の話。詳しいこと分かったわよ」
あの電話から一時間後。俺は千夜と漸く会うことができた。
ここはメインのパーティー会場からは少し離れた、食料貯蔵倉庫の裏の空スペース。
「待ってました!」
俺は渡されたお決まりの衣装を身にまとう。
「まず『アリス』って子についてだけど、本名は『神谷有栖』(かみやありす)。五十年前の今日、つまりクリスマスイブに沈没した豪華客船『ノートリン号』に乗っていた乗客よ。この事件で亡くなっているわ」
「神谷……?もしかして」
「厳密に言うと亜実さんのおじいさんのお姉さんみたいだけどね」
「なるほど」
一つ一つの点が線で繋がってゆく。
「それにおじいちゃんとも関係あるみたいなのよ。二人が恋愛感情にまで達していたかどうかまでは、データで解析できなかったけど……」
「じゃあ、あのフランス人形は──?」
俺に助けを求めていたのも偶然じゃないかもしれない。
「おじいちゃんがその有栖って人にプレゼントしたものに間違いないわ」
「やっぱそうか……これではっきりしたぜ!」
俺たちの今すべきことが見えてきた瞬間でもあった。