【COLORS②】怪盗バレン─聖夜に贈るメッセージ─
「お兄ちゃん!!ご苦労様」

船の外に出ると、穏やかな海が広がっていた。
しかし冬の海は寒い!今日は朝から冷え込んでいたから、雪でも降りそうな……

「まぁな。でも今回のミッションはまだ終わってねぇ。ここから本番だ」

俺は手に持っていた人形をじっと見つめ、神経を集中させた。





お願いだ。

もう一度だけでいい、

俺と話をしてほしい。





『有栖!!』





゙……澪斗さん゙


『……有栖さん……ですよね?』

゙はい゙

俺はゴクリと唾を飲んだ。

『あなたは今まで深い海の底で泣きながら、待っていたんですよね』

゙どうしてそれを?!゙

『顔にくっきり残った涙の跡を見れば一目瞭然です。あなたは……いや、あなたの魂は待っていたんですよね?』

゙!?゙

『俺のじいちゃん、黒鉄廉次郎(くろがねれんじろう)のことを……』

゙──私と廉次郎さんは世間で言うところの、恋人同士にはなりきれなかったのかもしれません。ただお互いを意識するだけに留まっていました。でも……゙

『クリスマスイブの夜、じいちゃんが有栖さんにプレゼントしたのがこの人形だった──違います?』

゙その通りです。流石は廉次郎さんのお孫さんですね゙

『じいちゃんは多分……いや絶対、有栖さんのこと愛していたと思いますよ。だってほら』

俺は人形の左薬指にはまっている指輪を外した。
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