【COLORS②】怪盗バレン─聖夜に贈るメッセージ─



タクシーを降り、



コツ、コツ、コツ……



一歩一歩近づいているのが、自分でも分かる。


「千夜ちゃん、チケット」

「あ、そっか」

彼女はバックからそれを取り出した。

俺の気になっていたこと──
それはチケットに書かれていたあった、

『特別開催のオークション』の文字。

今夜この船で行われるらしい。何のことはないとは思うが、『予感』がするんだ。

俺には──ひょっとしたらじいちゃんに繋がる謎に通じているのではないかと。



「この先がディナーパーティーの行われる会場のようね」

「亜実さん、ちょっとお手洗いに行ってもいいですかね?」

「ええ……じゃ私は先に向こうで待ってるわ」



あと十分、か。



やっとこの窮屈なとこから解放される。
< 9 / 24 >

この作品をシェア

pagetop