唇を塞いで
新しい治療を始めた途端、
お母さんは毎日具合が悪そうだった
「お母さん、いなくなっちゃ嫌だからね」
「詩希、やめろよ。母さんがいなくなるわけないだろ」
「そうだよ、詩希。お母さんね、ずーっと詩希と十和の側にいるからね」
あの頃のあたしはそれを信じてた
先生の言ってたことも
何もかも
病院には同い年の男の子がいた
12才だったから
遊ぶなんてことは無かったけど……
優しくて、大好きだった
多分あたしの初恋