唇を塞いで

あたしを連れて…




「嘘だ…父さんが…」


「父さんは二人が付き合うのは絶対に許さない。京一くん、詩希には近づかないでくれ。
もう帰ってくれ」


「でもっ…それは昔のことで…俺はっ…」


「君にとっては!!昔の小さな出来事でも家にとっては……」



お父さんが泣き崩れた

あたし、気付いてなかった
お父さんがこんなに傷付いていたなんて

十和がこんなに苦しい思いをしていたなんて



あたし達ってこんなに、

脆いんだ



「君を見てるのは、何よりもつらい。帰ってくれ…帰ってくれ!!!」





< 163 / 239 >

この作品をシェア

pagetop