唇を塞いで



「あなたには家族もいるし、産みたいっていうだけで産めるわけじゃないのよ」


「はい…」


今は混乱していて、まとめられない



先生の話を聞いたあと
また家に帰ってお父さんにどう話すかを考えていた



「詩希、どうしたんだ。学校は」


「うん。早退したの」


「調子悪いのか?病院は……」

「そのことなんだけど…」

そこで言いよどむ

お父さんの目を見ることができない

「そんな深刻そうな顔して……」


「あたし……」





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