INNOCENT
10月ー初旬
まだ夏の暑さが残る日だった。
蝉の鳴き声がまだ聞こえてくるのでは?
耳を澄ますが、さすがに、やはり聞こえない。
手に持つ新品のシャーペンを器用に人差し指と親指で回し、
窓の外を眺めた。
教室の窓側の一番後ろの席。
こんな良い席はないと思う。
携帯をイジっても、
数学の授業中に英語の予習をしても、
全然バレないのだから。
それに何より、
窓の外がよく見える
空や、グラウンドや、人が
よく見える
私は、思わず口元が緩んだ