【企】携帯水没物語
社会は私達を必要としなくなった。
口先だけは相変わらず必要とほざいているけど。
最近、進路を進学から就職にかえたわたしは知った。
下手に夢をみたら負け。
昔は夢をみろと諭した大人は、子供から若者になったとたん、手のひらをかえす。
夢より現実、優先。
なら、最初から夢をみさせたりしなければいいのに。
人は成長していく課程で社会は平等や希望で成り立っているんじゃなくて、理不尽の塊なんだって気づく。
成績のいい子は誉められ、悪い子は篩にかけられ落とされていく。
その成績のいい子だって、夢を叶えることはできない。
希望なんて持てない。
それでも成績のいい子は誉められる。
大人はすごく悪い子が更生したら、よくがんばったって言うだろう。
普通の子は報われない。
どんなに頑張っても、普通のままの子は報われない。
どんなにいい子でも、社会は目を向けてくれない。
里奈は、そこにいた。
だから、自分の存在がわからなくなった。
大勢の中の一つ。
『女子高生』というブランドの一欠片。
自分の価値も意味も見いだせなくて、自分を手放した。