【企】携帯水没物語
十月七日
ついに悪い連鎖が始まった。
岡山の男子高校生が学校の屋上から飛び降り自殺をしたのをきっかけに、全国のあちこちで事件は起こった。
神戸で、山形で、東京で、札幌で、松山で、福岡で……
日本中に土浦里奈が増殖し始めた。
まずい。
わたしはネットニュースを見て震えた。
里奈一人の自殺でこんなことが起こるなんて、誰が予想しただろうか。
その時、わたしのケータイと例のケータイが同時に震えた。
わたしのケータイには万里子からメールが来ていた。
From万里子
東佳、ニュース見た!?
今、学校来ちゃダメだよ!!
大変なことになってる
慌てて電話をすると、万里子は状況を説明してくれた。
学校の前に人が集まっている。
屋上を見上げている。
わたしは万里子との電話を一方的に切って、先生からのメールを開いた。
From先生
リナ
わたしはここにいる
わたしはケータイを握りしめた。
先生、ありがと、大丈夫
このケータイがなかったら、わたしは生きることを抱えてここに縛りつけているようで、耐えられなくなっただろう。
もしかしたら―…
ふと浮かんだ疑惑は頭を離れなくなった。
もし、里奈がこうなるとわかっていたなら、
わかった上でこのケータイをわたしに託したのなら……
里奈、勝手すぎるよ
わたしにどーしろっていうの