【企】携帯水没物語
もはやネット上は里奈が溢れている。
放っておけば、収束がつくのだろうか。
それとも、
みんながここからいなくなって、この世界からいなくなってしまわないと終わらないのだろうか。
このくらいのことでは何も変わらないことくらい、わかっていたけど、他に何も思い付かなかったわたしは、書き込みをした。
それはある意味爆弾。
ヒガシ;自殺しちゃダメだよ
自分のネーミングセンスの無さに思わず苦笑いになる。
最近の若い子達はパソコンを使い慣れているからか、あっという間に画面上は反発や抗議の書き込みで埋め尽くされた。
やっぱ駄目か。
とりあえず、それらの反発や抗議には一通り目を通した。
だいたい予想した通り。
ただ、一つ、目を引くものがあった。
名無し;わたしは生きているけど、いない。
生きることと“いる”こと、死んじゃうことと“いない”こと。
それは違うでしょ?
わたしみたいな子はいっぱいいるよ。
里奈みたいに。
心がイタイのはきっと共感してるから。
画面に釘付けになっていたことにハッとして、頭を振った。
ここでこうして部屋に閉じこもっていても何もできない。
何も変わらない。