【企】携帯水没物語

もはやネット上は里奈が溢れている。

放っておけば、収束がつくのだろうか。

それとも、
みんながここからいなくなって、この世界からいなくなってしまわないと終わらないのだろうか。

このくらいのことでは何も変わらないことくらい、わかっていたけど、他に何も思い付かなかったわたしは、書き込みをした。

それはある意味爆弾。


ヒガシ;自殺しちゃダメだよ


自分のネーミングセンスの無さに思わず苦笑いになる。

最近の若い子達はパソコンを使い慣れているからか、あっという間に画面上は反発や抗議の書き込みで埋め尽くされた。

やっぱ駄目か。

とりあえず、それらの反発や抗議には一通り目を通した。

だいたい予想した通り。

ただ、一つ、目を引くものがあった。


名無し;わたしは生きているけど、いない。
生きることと“いる”こと、死んじゃうことと“いない”こと。
それは違うでしょ?
わたしみたいな子はいっぱいいるよ。
里奈みたいに。



心がイタイのはきっと共感してるから。

画面に釘付けになっていたことにハッとして、頭を振った。

ここでこうして部屋に閉じこもっていても何もできない。

何も変わらない。

< 29 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop