【企】携帯水没物語
わたしは何日ぶりかに制服に腕をとおした。
学校に行く。
っても授業を受けにいくわけじゃないけど。
一番近い現場がたまたまそこだった、それだけ。
それでも制服を着ているわけだから、自分の変な真面目さに馬鹿馬鹿しくなる。
わたしのケータイ
先生ケータイ
二つを握りしめて部屋を出た。
リビングの横をを通るとき、予感があった。
けして、悪い予感じゃない。
だけどわたしはそれを否定したくて、部屋を覗き込むことはしなかった。
しばらく使っていなかったので端の方に寄せられているローファーに足を入れた。
玄関の重たい扉を開けると、さすがに音で気づいたのか、陽人さんの声がした。
「東佳さん!?」
それ以上聞きたくなくて、わたしは家を飛び出した。
「東佳さん!待って、どこいくの!?」
陽人さんの声を無視して走った。