【企】携帯水没物語
「……なんでよ」
「こんな時間に学校来るのはサボりか不登校だけだろ」
図星を突かれてますます不利になる。
どうもわたしはぐらぐら揺れる足場たっているようだ。
茶髪は続けた。
「俺たちは土浦里奈だ」
「あんたと土浦里奈の違いはどこにあるんだ?」
言葉に詰まった。
里奈と、わたしの違い………?
そうだ
何も違わないんだ
わたしが何も言えなくなったことを確信したのか、彼等はわたしから興味を失ったように、また先生達と格闘し始めた。
「センセ……」
手のなかのケータイは反応してくれない。
だけど、大丈夫、大丈夫、わたしは先生と繋がっている。
手のひらに感じられるケータイの固さがわたしを落ち着かせた。
「聞け!わたしは土浦里奈の親友だ!!!」
無数の瞳は再びわたしを貫いた。