【企】携帯水没物語
「でないの?」
胸がざわつく。
何かが始まるのか、それとも終わるのか、ざわざわと心が震えている。
「……でるよ」
わたしは通話ボタンを押した。
『もしもし、
東佳さん!?』
「何?」
『今、どこにいるの!?和樹が産まれるんだ、病院に来てくれ!!』
すうっと陽人さんの声が遠ざかっていった。
和樹が―…産まれる?
「……わかった………………すぐ行く」
わたしは陽人さんの返事を聞く前に、電話を切った。