【企】携帯水没物語
涙が溢れて後ろへ流れていく。
走って走って走って。
どこに行くかなんて自分でもわからないけど、
どこかへ確実に向かって走っている。
里奈が死んだ
和樹が産まれた
先生ももういない
わたしは、東佳は、消えちゃう
堤防沿いを走って、わたしが足を止めたのは
橋の真ん中
車なんて通らない
小さな橋の真ん中
だけど、
すごく高い橋の真ん中
なぁんだ
勝手に頬が緩んで、自嘲的な笑みが吐息とともに吐き出される。
わたし
里奈に
なりたかったんだ?