【企】携帯水没物語

涙が溢れて後ろへ流れていく。

走って走って走って。

どこに行くかなんて自分でもわからないけど、

どこかへ確実に向かって走っている。


里奈が死んだ

和樹が産まれた

先生ももういない

わたしは、東佳は、消えちゃう









堤防沿いを走って、わたしが足を止めたのは





橋の真ん中




車なんて通らない
小さな橋の真ん中



だけど、

すごく高い橋の真ん中




なぁんだ


勝手に頬が緩んで、自嘲的な笑みが吐息とともに吐き出される。



わたし


里奈に

なりたかったんだ?


< 42 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop