【企】携帯水没物語
せっかく自分のペースだっただけに残念だったが、わたしもメールをやめた。
相手も慎重だ。
本が見つかっただけでも収穫かもしれない。
それになかなか情報をくれた。
まず、学校のことでグチを言うのだから、紗希は学生だ。
それから、このケータイを拾ったらしい。
里奈と同じように。
わたしはカウンターで紗希が借りた本を借りた。
とりあえず、読んでみることにしている。
もし、これを里奈が読んでいたなら、自殺の原因はこの本にある可能性だって否定できない。
なにかしらの影響を受けたのかもしれない。
わたしは図書館をあとにした。
後戻りをするつもりはない。
里奈がわたしに託したのだから、それには里奈なりの考えがあるはずだ。
そして、気になることがもう一つ。
里奈からの宿題と言うべきか、あの手紙に書かれた質問。
“わたしって、何?”
質問の意味すら未だによくわからないのだ。
それにこの本。
あの質問とつながっているとしか思えない。
里奈はずっと疑問に抱いていたのだろうか。
そのことで思い詰めて自殺?
その疑問を抱いた原因がこの本だとしたら
―…“先生”はなんなのだろう