【企】携帯水没物語

本の内容はわたしに言わせてもらえばなんとも無意味なものだった。

もっと正確に言うなら私達だろうか。

それどころか腹立たしい。

こんなことが本になっていることがどうにも納得できなかった。

できるわけがない。

簡潔にまとめれば、この本は若者をバカにしている。

言葉が乱れ、生意気で生きることに気力がなく、すぐに自殺にはしる。

そんな内容がなんページも続く。

後半は若者へのメッセージとでも言ったらいいのか、生きることの素晴らしさを延々と綴っていた。

里奈がこれを読んだとしたら
……思い詰めてもおかしくないかもしれない。


結局、この本の作者は若者をひとくくりにして見ているのだ。

最近の若者は、と言われているようで、

ムカつく。

大人が聞いているのは私達の口から発せられる音でしかない。

声じゃない。

音だ。

文中に何度もけなすように出てきた“うざい”の意味も辞書的に捉えているだけだ。

キレるの意味だってそうだ。

『最近の若者はすぐに“キレる”』

感情が押さえられなくなって“キレる”?

それも一つの用法としてアリだけど、“キレる”の意味は一つじゃない。

若者言葉は進化する。

使うときの感情一つで。

大人はそれを見てくれない。

自分達が使わない言葉に嫌悪感を抱いて、それを毛嫌いしているだけだ。
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