and I love you


なにもかもが白黒に見えた。


目の前に止まった京浜急行の快特列車が、閉まりかけている。


私は急いで飛び乗った。








ブー‥ブー‥ブー‥‥



ブレザーのポケットで携帯が震えた。




受信トレイ
from:ユウタロウ
sub:ReReRe‥
―――――――――――


サクラ(´・ω・`)


サクラはよく頑張ってたよ。
何も力になれなくてごめんな
元気だして(´・ω・`)




3月の終わりにライブ
やるんだ!
気分転換にでも、よかったら
来てくれない??
―――――――――――








ユウタロウは私の一つ年下で、去年の冬に一度会ったことがあるだけ。


私が当時組んでいたバンドでスタジオに入ったときユウタロウは自分のバンドで来ていて、流れでアドレスを交換した。


ユウタロウは何度も私のこと"可愛い"と褒めてくれたから嬉しかった。


そういう甘い言葉に免疫がなかったんだと思う。


それ以来会ってはいなかったけど、何回かメールのやり取りはしていた。


男友達も少ない私は、一度しか会ったことがないユウタロウに、ケンタのことを相談していた。


ユウタロウは本当に頼りになったし、こうやって慰めてくれたり励ましてくれたり、私の心の支えになっていた。






「ライブ、絶対に、行く、からねっと」


ユウタロウに返信し終えて、私は顔を上げて窓の外に流れる景色を眺めた。





傾きかけた太陽が、遠くの空をピンク色に染めていた。

< 4 / 8 >

この作品をシェア

pagetop