エクスタシー~極上のオトコ!?~
「やぁ、この前はどうも」


すぐに見覚えのあるジジイ……じゃなくて、安藤画伯が右手を差し出しながら歩み寄ってきた。


けど、アタシの目は若いセレブを求めて焦点が定まらなかった。


「安藤様。先日は失礼いたしました。その後、お加減はいかがですか?」


なんて言いながらも、気はそぞろ。


「いやもう、すっかり。あなたのお陰で助かった」


画伯はアタシと握手をしたあと、理沙にも手を差し出した。


理沙は噴き出しそうなほど緊張した顔で、この有名画家の手を握ってる。


「これは息子の尚道です」


画伯の影に隠れるように、気の弱そうな男が立っていた。


紹介されるまで、その存在に気づかなかった。


なんなの、この戦闘能力ゼロの男は。



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