エクスタシー~極上のオトコ!?~
私とノゾミさんはシャンパンで乾杯した。


気のせいか、周囲の客が私たちの方を好奇の目で見ているような気がする。


客観的に見て、奇妙な取り合わせに見えるだろう、と自分でも思う。


丸の内のビジネスマンとアキバ系腐女子、そして水商売風の美形金融屋……。


けど、私以外の二人は、このおかしな組み合わせについて気にしている様子はなかった。


「僕は天野先生が書かれる無色透明な世界が好きなんです」


「あ、ありがとう……ございます……」


「少年たちの心がピュアで一途で、どの作品も本当に共感が持てるんです」


ノゾミさんはサイトの書き込みと同じような調子で、私の小説を絶賛し始めた。


私は居たたまれない気持ちになった。


嫌味で皮肉屋のエクスタシーの前で誉められるのは拷問だと思った。


あとで何を言われるかわからない。





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