エクスタシー~極上のオトコ!?~
「先生!」


明るい声が天井の低い地下に響いた。


「ノゾミさん?」


スーツ姿のノゾミさんが、大きめのビジネスバッグを抱えて走ってきた。


思わず、時計を見た。


まだ、正午過ぎ。


「やっぱりここにいた。自宅へ行くべきか迷ったんですが……。はい、お土産のうなぎパイ」


目の前にキオスクの紙袋が差し出された。


「ノ、ノゾミさん。そんなことより出張は?」


「キャンセルして帰って来ました。名古屋へは来週、また行きます」


ノゾミさんは息を切らしながらも、あっけらかんと答えた。


「う、うそ……」


事情も聞かないで駆けつけてくれた彼の気持ちが嬉しいというよりも、仕事の邪魔をして申し訳ない気持ちの方が強かった。


「ごめんなさい……」


また、泣きそうになった。


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