エクスタシー~極上のオトコ!?~
アタシはケータイを閉じた。



はぁ――……。


出るのはため息ばかり。


アタシは藤山にプレッシャーをかけられて以来、モチベーションの上がらない日々を送ってる。


絶対にラインアウトして正社員にならなければならない。


それなのに、教官には目のカタキにされている。


他の乗務員たちからはシカトされてるカンジだし。


それでもまだ、授業の間はいい。


英語だって、保安要員や機体についての知識だって、誰にも負けはしない。


どんなに難しい問題をぶつけられたって、平然と答えてやる。


けど……。


問題はモックアップを使っての非難誘導訓練だ。


みんなは授業が終了して、モックアップに移るとホッとするというが、あたしはあれが大嫌いだった。


『ハイヒールを脱いで! メガネを外して!』
と大声で怒鳴るアレだ。


訓練生はここぞとばかりに、迫真の演技を見せる。


今、目の前で火災が発生しているかのように。


けど、アタシにはムリ。


訓練生だったときも
「関谷さん! 声が小さい!」
と、言われて何度もやらされ、キレそうになった。


思い出しただけでジンマシンが出る。


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