エクスタシー~極上のオトコ!?~
26.
眠り姫 ~その2~ @理沙
窓辺で花が揺れている。
可愛いデージーの花かご。
チューリップの生けられた花瓶。
エクスタシーは視線を伏せるようにして、静かに話しはじめた。
「翔子と出会ったころの俺は、かなりいい気になってた」
それは耳を澄ましてようやく聞き取れるような低い声だった。
「夜の世界では全てが思い通りになったから、勘違いしてたんだ」
その自嘲するような口調に、相づちをうつことさえ躊躇われる。
私はただ、時間が静止しているような病室に立ちつくし、彼の声に耳を傾けていた。
「年を偽って十八でホストをやりはじめた。たった一年足らずで『歌舞伎町のタケル』と言えば、業界では知らない者がないぐらいにまで登りつめた」
経歴書の文面が脳裏に浮かんだ。
「色々な店から引き抜きの声がかかった。天狗になってた俺は、三年ほどで誰かに使われるのが馬鹿馬鹿しくなって、自分についてた太客を3人ほどパトロンにして、キャバクラをはじめたんだ」
面白いほど儲かった。
ホスト時代よりもっと女に不自由しなかった。
そう言って、彼は皮肉な笑みを浮かべた。
可愛いデージーの花かご。
チューリップの生けられた花瓶。
エクスタシーは視線を伏せるようにして、静かに話しはじめた。
「翔子と出会ったころの俺は、かなりいい気になってた」
それは耳を澄ましてようやく聞き取れるような低い声だった。
「夜の世界では全てが思い通りになったから、勘違いしてたんだ」
その自嘲するような口調に、相づちをうつことさえ躊躇われる。
私はただ、時間が静止しているような病室に立ちつくし、彼の声に耳を傾けていた。
「年を偽って十八でホストをやりはじめた。たった一年足らずで『歌舞伎町のタケル』と言えば、業界では知らない者がないぐらいにまで登りつめた」
経歴書の文面が脳裏に浮かんだ。
「色々な店から引き抜きの声がかかった。天狗になってた俺は、三年ほどで誰かに使われるのが馬鹿馬鹿しくなって、自分についてた太客を3人ほどパトロンにして、キャバクラをはじめたんだ」
面白いほど儲かった。
ホスト時代よりもっと女に不自由しなかった。
そう言って、彼は皮肉な笑みを浮かべた。