エクスタシー~極上のオトコ!?~
「二年前のあの日……」


エクスタシーは言葉を途切れさせた。


苦しそうな表情で目を上げて私を見た。


「店のキャストの一人と沖縄に旅行に行って、帰る間際にモメた。翔子と別れてくれって、半狂乱になった女が俺のケイタイで翔子に電話をかけやがった」


その時のことを悔やむように、彼はしばらく黙った。


「その女をなだめるためにもう一泊して帰ったら、翔子はいつものようにベッドにいた。けど、何を言っても、くすぐっても、起きてこなかったんだ」


沈痛な面持ちで翔子さんを見つめている。


「くも膜下出血だった。手術は成功した。なのに、目を覚まさない」


彼は自分を責めるような表情で続けた。


「医者は『もう意識を回復する見込みはない』って言うけど、そんなのは信じられない」


『萩野さんのせいじゃないよ』


そう言ってあげたいのに、喉に何かがつまったみたいに声が出なかった。






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