エクスタシー~極上のオトコ!?~
アタシたちはカウンターに並んで座った。


「私自身はこの結婚に反対じゃないのよ」


「はぁ……」


「ただ、私自身も結婚には失敗して、息子に寂しい思いをさせてしまったから……」


藤山は珍しくしんみりとした口調で言った。


「あなたは特に、私と似てるから心配なの」


どこが?


真顔で聞き返したかったが、出来なかった。


「あなたは私と同じで仕事に生きるタイプだと思うのよね」


はぁ?


ちょっとちょっと、勘弁してよ。


「きっと、家庭の中だけじゃ納まりきれない。物足りなくなると思うの」


ズレてる。


あまりにもズレてる。


ズレすぎていて、うまく反論し、説得できるという自信がなかった。





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