エクスタシー~極上のオトコ!?~
深呼吸をしてドアを開けた。


「ママ。私……」


言葉がちぎれた。


「うそ……」


「ただいま」


そう言って帰ってきたのはエクスタシーだった。


私はドアノブを握り締めたまま唖然としていた。


ノゾミさんが言っていた車上生活者の彼ではなく、以前のままの綺麗な姿の彼が勝手に上がり込む。


「ど、どうして……」


「メモ見たから」


「あ、あの……」


言いたいことがありすぎて、何から言っていいのかわからない。


結局、
「お、お帰りなさい」
の一言しか言えなかった。


たったそれだけを言った途端、涙があふれて止まらなくなった。


上がり框に立っている美穂も呆然とした顔だった。


「お、お姉ちゃん……」


美穂が怒るんじゃないかとヒヤヒヤして、涙が止まった。


が、彼女の反応は意外に淡白だった。


「あたしは構わないけど、ママが何て言うかしらね」


「ママ?」


エクスタシーが私を振り返る。


「う、うん……。今日、アメリカから一時帰国するの」


彼はそれを聞いても動じず、
「へえ」
と、うなずくように呟いた。




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