エクスタシー~極上のオトコ!?~
まだ何もしていないのに、緊張のあまり吐き気がしてきた。


外の空気でも吸って頭を冷やそう。


私は何となく外へ出た。


公園の入り口の植え込みに白い花が咲いている。


いい匂い……。


くちなしの花。


足を止め、かぐわしい香りを肺一杯に吸った。


そのとき、私の横に車が停まった。


え?


ガラの悪いスモークガラスがゆっくりと降りる。


窓から覗いた顔を見て、私は息を飲んだ。


生まれてから今まで見てきた顔の中で、最も整った顔……。



エクスタシーだっ。


車内からエクスタシーが、私を見上げている。


「なぁ、この辺に芦野って家があるはずなんだけど、知らない?」


前に一度、コンビニで会っていることなど覚えていないのだろう。


やけに爽やかな笑顔を見せている。


「芦野さんならウチの隣りですけど」


「あ、そう。悪いけど、案内してよ。さっきから同じとこグルグル回ってるんだけど、見つけられなくてさ」


お隣りの芦野さんは資産家で、都内に複数の土地や建物を所有している。


セキュリティーのためだろうか、表札を出していなかった。





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