エクスタシー~極上のオトコ!?~
相変わらず、前を向いたままの彼が言った。


「今度、ご馳走してくれよ」


「え?」


「あんたの水料理」


何と答えていいかわからなかった。


冗談とも本気ともつかない。


うっかり、目的地を見逃しそうになった。


「あ。あそこです。芦野さんのオウチ」


私は通りの角の、立派な庭木が繁る邸宅を指差した。


「ふーん。じゃあ、あんたは関谷さんだ」


エクスタシーが芦野邸の手前で車を停め、ウチの門扉を眺めて言った。


「はい……」


家を知られたことが怖いような嬉しいような、複雑な気持ちだった。




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