エクスタシー~極上のオトコ!?~
彼は芦野家の大邸宅を囲う石塀の端までくると、手にしていたビラのようなものを壁面にベタベタ貼りはじめた。


白い紙には遠目にもわかる文字で
『カネ、返せ』
『芦野景子は踏み倒しの常習犯』
などと書きなぐられている。


ちなみに、芦野景子ちゃんは、この家の自慢の一人娘。


美穂の同級生で、近所でも評判の才色兼備。


景子ちゃんは高校まで美穂と同じ学校だった。


その後、慶応のミスキャンパスを経て、美穂が派遣されている航空会社に正社員として採用された。


幼少の頃から彼女をライバル視してきた美穂は悔しがった。


けど、景子ちゃんは美穂のことなど歯牙にもかけていない。


というより、全く気にしていない。


昔から私たち姉妹にとても親切で優しかった。


それがまた、美穂の自尊心を傷つけていることに、景子ちゃんは気づかない。


もちろん、美穂のくだらない意地悪にも気づかない。


勉強はよく出来るが、ちょっと鈍いところがある生粋の御嬢様だ。




< 80 / 417 >

この作品をシェア

pagetop