僕らの初恋は淡く鈍い色で輝く
入学式
緊張
「……ここが、私の夢見た…学校…!」
私は少しの間、新しい高校の入学式で
ポカンとしていた
勉強して勉強して入った この学校にいることが
まるで夢のようだった
「桐谷陽真!」
「はい」
私の斜め前の席の人が立ち上がった
メガネをかけた、頭の良さそうな男の人…
「ぅわ…かっこいい…」
思わず私は呟いてしまっていた
実際、私は面食いではないのだが、
かっこいいと言っておきたくなるほど
美形だった
「安藤華菜!」
「…あ、はい!」
しまった~…
入学早々、先生の言葉を
聞き逃しそうになった…!
私の名前は安藤華菜
この学校には第一希望で合格した
(友達…できるかな?)
私はこれまで友情というものを
あまり経験したことがない
恥ずかしい話、仲良く接してくれる人は
家族や、親戚などの身近な人だけだった
(今年こそは仲のいい友達作る!
そう決めたんだから!)
私は前に向き直った
校長先生がなにやら話している
どこの学校でも、
話の長くない校長はいない
「では、各自教室に戻ってください」
どこからともなく、先生がマイクで言った
がたがたと体育館に用意された椅子から
立ち上がる音が聞こえる
(私は何組なんだろう?)
再び、わくわくといった感情が
芽生え始めた
私は体育館を早々と立ち去ると
昇降口に用意されたクラス表を見た
(1-A…ない…1-B…あった!)
私は、校舎案内用紙を片手に走り出した