トライアングル・ラブストーリー


そう気合いを入れたところで後ろから走ってくる足音が聞こえた


端に避けた私の腕を強く引っ張るその人


顔を見なくても分かる


私はゆっくりと振り返った


案の定そこに立っていたのは息を切らした部長だった


「何かご用でしょうか、部長」


冷静を装って問い掛ける


「どうして辞める?」


「家庭の事情です」


「なら、なぜ俺のところではなく課長のところに出しに行く?何か俺には話せないような事情があったからじゃないのか?」


言える訳がない


部長が他の人とキスしてたからなんて……


部長が好きだったからなんて………



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