“無”な彼。
「……私、山内くんが好きです」
フラれる覚悟で言った。
自分で決めたんだもん。
後悔はない…よね?
「…なあ、こっち向いてみ」
山内くんに言われ、少し下を向いていた顔を上げる。
すると、広内くんの顔がすごく近くにあって唇に柔らかい感触がした。
「…………俺も」
山内くんはそう言うと、もう家近いだろと言ってくるりと背を向けて歩きだした。
「え……?」
一瞬の出来事で何も整理できない私。
数分突っ立った結果、
「山内くんと、キ…キキ…キ…チュ…したあああぁぁ!」
急に顔が熱くなって、家まで走った。
私…、山内くんと両思い!?
嘘…嘘…嘘…!
結局1日中寝ずに考えてしまった。
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