“無”な彼。



次の日、

まだ興奮状態で、しかも一睡もしてない私は家を出た。


学校に着くと、山内くんは普通に座っている。

…こちらをチラリとも見ずに。



まさか、昨日のことは夢…?

いやいや…まだ感触は…。


って思い出してどうすんの馬鹿っ!

また顔が熱くなった。


それからはいろいろと自分に言い聞かせ、席に座る。


そしてもう一度山内くんを見る。

あっ…!

そこで私は思い出した。



漫画忘れた…!

何故か“謝らなきゃ”と瞬時に思った私は席を経った。



「山内くん!漫画まだ読んでません!ごめんなさい!」


またシーンと静まる教室。

山内くんが振り返るのがスローモーションに見える。




「……いつでもいいから」


山内くんの声が響き、私も席に帰ろうとするはずだった。


だったのに………。



「あの…、2人は付き合ってるんですか?」


クラスの女の子の1人が言った。



確かに昨日好きって言ってもらったけど、私達付き合ってるの?


そんなことを考えてると、













「付き合ってる」


山内くんが当然というように笑って言った。


その笑った顔に、山内くんの人気が凄く上がってしまったというのは、言うまでもない。



 ーおわりー


.
< 21 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop