“無”な彼。
次の日、
まだ興奮状態で、しかも一睡もしてない私は家を出た。
学校に着くと、山内くんは普通に座っている。
…こちらをチラリとも見ずに。
まさか、昨日のことは夢…?
いやいや…まだ感触は…。
って思い出してどうすんの馬鹿っ!
また顔が熱くなった。
それからはいろいろと自分に言い聞かせ、席に座る。
そしてもう一度山内くんを見る。
あっ…!
そこで私は思い出した。
漫画忘れた…!
何故か“謝らなきゃ”と瞬時に思った私は席を経った。
「山内くん!漫画まだ読んでません!ごめんなさい!」
またシーンと静まる教室。
山内くんが振り返るのがスローモーションに見える。
「……いつでもいいから」
山内くんの声が響き、私も席に帰ろうとするはずだった。
だったのに………。
「あの…、2人は付き合ってるんですか?」
クラスの女の子の1人が言った。
確かに昨日好きって言ってもらったけど、私達付き合ってるの?
そんなことを考えてると、
「付き合ってる」
山内くんが当然というように笑って言った。
その笑った顔に、山内くんの人気が凄く上がってしまったというのは、言うまでもない。
ーおわりー
.