ひとりでふたつ
朝
「…………つまんない」
「なんだとコラ。朝からくだらねぇことしてんじゃねーよ」
少し不貞腐れながらとなりを歩くこいつ。
俺の反応が不満だったらしいのだが、んなこと知ったことじゃない。
スカートめくり。
今時小学生でもやらないような嫌がらせを、こいつは未だにしている記念物だ。
さらにその低能な嫌がらせを俺にしてくるあたり、かなりの変わり者だと思う。
「もう~今日も下はいてないじゃん!いいのー?見られて」
「パンツはいてんだろ」
「あのねぇ…まずパンツを見せないようにという心はないのか!」
「別に。つーかお前がめくんなきゃ見えねぇんだよこの変態が」
「僕はただ変態をはたらこうと思ってるわけではなくアートのことを思って…!……はぁ、アートになに言っても無駄か」
「変態を正当化すんな変態」
「……アーティがひどい」
「お前にその名で呼ばれる筋合いはない」
アーティは俺の愛称で、特別仲がいいわけでもないこいつに呼ばれるとバカにされてるみてーでムカツク。
まぁ毎朝飽きもせずご苦労なこった。
今もパンツがどーとかスカートがどーとか騒いでいる変態、もといクラスメイトのフランは、こんなふうに毎日俺につきまとってくる。
スカートめくりも無邪気にやってのけるし、そろそろ免疫もついたがやはりウザったい。
黙ってればそこそこ綺麗な顔してんのにもったいな…いや、でも変態だ。騙されんぞ俺は。