【短】Mid night Venus。
「網谷くん、乾杯っ」
カチンッとグラスとグラスをぶつけて、一口カクテルを喉に流し込む。
「あーやっぱりマスターのカクテル最高!」
「いつも有難うね、網谷くん」
マスターは俺にもう一杯カクテルをサービスしてくれた。
暫く、安美との他愛もない会話続く。
あー...もう退屈なんだけど。
回転式の椅子を踊り狂う客の方向へ回す。
みんな楽しそうに、嬉しそうに。
踊って抱き合ってキスをして。
何百回も焼き付けてきた光景にも飽きてきた。
違う店行こうかな。と立ち上がろうとした時、
俺の隣に黒髪の女が座った。
「一杯どう?」
俺に微笑んだ彼女に
一瞬でとりこにさせられてしまった。