あいらぶ先輩!
「ホラっ。爽司っ。
ちゃんとるいに話しなさいよ?」
市崎先輩の服をひっつかんであたしに向かせるミドリ先輩。
なんか、悪いことをしてしまった子供に謝らせるお母さんみたい。
ちょっと笑いそうになってしまった。
「じゃあ、またね、るい。」
えっ、ミドリ先輩!
一人にしないでよおぉ...
そんな願いもむなしく、ミドリ先輩は帰ってしまった。
あ、カーディガン返すの忘れちゃった。
「…さっきは悪い。
いきなりあんなことして。」
ポケットに手をつっこんだまま、軽く俯いて、話す市崎先輩。
表情が見えない。
″悪い″って気まぐれでキスしたってこと?
「あの...キスは嬉しかった。
先輩が...好きだから。
でも、なんでキスしたの…?」
正直に自分の気持ちを話す。
もし市崎先輩が″遊び″でキスしたんだとしたら、あたし立ち直れないかも。
あたしの気持ちは中途半端じゃないから…。
本当に、本当に、先輩が好きだから。
「…わかんねぇ。
気付いたらキスしてた。」
「わかんないって何ですか…?」
さっき止まっていた涙がまた溢れ出した。