あいらぶ先輩!



「ホラっ。爽司っ。

ちゃんとるいに話しなさいよ?」



市崎先輩の服をひっつかんであたしに向かせるミドリ先輩。


なんか、悪いことをしてしまった子供に謝らせるお母さんみたい。

ちょっと笑いそうになってしまった。



「じゃあ、またね、るい。」


えっ、ミドリ先輩!


一人にしないでよおぉ...

そんな願いもむなしく、ミドリ先輩は帰ってしまった。








あ、カーディガン返すの忘れちゃった。



「…さっきは悪い。

いきなりあんなことして。」



ポケットに手をつっこんだまま、軽く俯いて、話す市崎先輩。



表情が見えない。


″悪い″って気まぐれでキスしたってこと?










「あの...キスは嬉しかった。

先輩が...好きだから。


でも、なんでキスしたの…?」





正直に自分の気持ちを話す。


もし市崎先輩が″遊び″でキスしたんだとしたら、あたし立ち直れないかも。


あたしの気持ちは中途半端じゃないから…。


本当に、本当に、先輩が好きだから。











「…わかんねぇ。

気付いたらキスしてた。」









「わかんないって何ですか…?」





さっき止まっていた涙がまた溢れ出した。


< 10 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop